1987年に設立されたHon Hamn Enterprise Co., Ltd. は、台湾新北市San Chung Dist にあり、エアコン、コンピュータ、オフィス機器、包装産業向けの発泡材料に特化しています。2004年に中国东莞市にプラスチック成形工場、金型設計製造工場、発泡材加工工場の3つの工場を設置しました。
同社はまず中東へ、その後はアメリカ、カナダ、シンガポール、タイ、フィリピン、オーストラリアなどのエアコン工場に発泡材を輸出するようになりました。 同社の扱う製品はハードウェア、銅パイプ、バルブ、ネジ、シートメタル、プラスチック射出金型、プラスチック射出成形品、機械など幅広い分野に渡っています。同社は製品開発や設計段階で、製品製造工程を確認するためにMoldex3Dを導入することになりました。
課題
昨今ではスプリット型エアコンの人気が高まりつつあります。エアコンパネルの設計はスタイリッシュで軽量なものが求められているため、製品はますます薄型になっています。エアコンの外板のような大型部品は、通常、マルチキャビティ射出成形が適用されます。しかしこれはフローの流動性や製品変形をうまく制御できないため、反り変形などの問題が発生しやすくなります。
ソリューション
- マルチゲート位置最適化: 設計最適化のために、異なるランナーシステムの流動解析結果とゲート形状を評価
- 体積収縮の制御（均一化、軽減化）: Moldex3Dは高精度シミュレーション解析機能を提供し、ランナー設計を検証し、体積収縮が均一かつ最小限になるようにします。
導入のメリット
同社はプラスチック射出成形シミュレーションソフトMoldex3D を導入し、これを設計検証と設計最適化の標準ツールにしました。Moldex3Dのシミュレーションは非常に高精度であるため、金型設計の最適化を確信を持って行うことができます。ユーザーは設計の試行錯誤の反復を削減できるだけではなく、型開きでのリスクも軽減できます。さらに Moldex3Dを利用すれば、各製品/金型の設計モデルデータベースを構築することもできます。これにより新規顧客開拓やOEM製品への可能性が広がります。
ケーススタディ
シミュレーション実行時には、多くの課題について別の視点や別のニーズから議論できます。金型メーカーの視点では、高精度解析が限られた納期内での問題解決の鍵となります。
以下は同社のスプリット型エアコンの外板のケーススタディです。高精度なシミュレーション解析でプラスチック製品の評価を行い、クライアントの要求に応じた設計反復を行い、最終的にシミュレーション結果を元に最適な設計を選択しました。
複数のランナーとゲート構成の評価
Moldex3D はフローバランスソリューションを提供しています。このケースのように特に大型で平らな製品に有効です。完全3D射出成形シミュレーションソフトウェアのMoldex3Dは複数の設計反復を元にしたシミュレーション結果を正確に比較できます。（図1参照）図2はメルトフロント時間が90%の時点の比較を表しています。これにより、デザイン4が最もバランスの良いフローであることがわかります。 反り変形解析を実行するため、フローバランスの解析結果を元に、最もバランスの良いフローの設計を選択することができます。製品の体積収縮が均一で最小限になるように最適化された設計を実現することが最終的な目標です。
図4の6個のセンサーノード反り変形比較から、デザイン4とデザイン5の体積収縮が均一になることが解ります。デザイン4とデザイン5は反り変形の傾向予測やフィールド制御が容易です。 さらにデザイン4とデザイン5は金型製作の品質も向上します。
図1 ：元のランナー&ゲートVS 設計提案
図 2： 6種の設計のメルトフロント時間比較（90% ）
図 3： Z-変位予測の比較
図 4： 6つのセンサーノードの変形値の比較
図 5： 6種の設計の Z-変位値と方向の比較
Moldex3D でビジネスの幅を広げる
Moldex3D はユーザーの設計欠陥を解決し、納期短縮を実現し、型開きのリスクを軽減するだけではありません。 Moldex3Dはユーザーが各製品/金型の設計モデルのデータベースを構築するのを助けます。つまりユーザー自身が設計の知識を蓄積し、製品製造のノウハウを獲得することを手助けします。Moldex3Dを利用すれば OEM製造で競争力や収益を上げることも可能です。さらにはODM供給も可能になるでしょう。