レジントランスファーモールディングプロセスのシミュレーション 充てん予測

レジントランスファーモールディング(Resin Transfer Molding, RTM)とは繊維強化プラスチック(Fiber-reinforced plastics, FRP)の製造方法の一種です。FRPは繊維で補強された高分子基材複合材料で、その製品の高強度と剛性により、航空産業、自動車産業などで幅広く活用されています。レジントランスファーモールディングの基本プロセスとしては、まずキャビティ内に繊維を配置し、次いで熱硬化性樹脂をキャビティ内に注入します。

レジントランスファーモールディングのプロセスにおける最大の課題は、樹脂流動の不均衡を避けるために、流入口とベント位置を選択することにあります。繊維内の異方性による透過性と流体粘度は時間の経過とともに上昇し、3Dシミュレーションツールを使用せずに複雑な樹脂の充てん流れを正確に予測することは困難です。この他に、(吸/排)気もRTMプロセスにおける重要な影響要素の1つであり、充填段階において、樹脂が流入口から排気に至るまでの、異なるベントの長さが異なる樹脂流動の原因となっています。Moldex3Dレジントランスファーモールディングモジュール(RTM)では、製品試作と金型の製造前にRTMプロセスにおける樹脂流動を予測してユーザーをサポートするとともに、製品設計の修正と最適化を行うことができます。

Moldex3Dレジントランスファーモールディングモジュールでは樹脂製品のプロセスシミュレーションをサポートしており、充填/硬化の分析を通して、ユーザーは適切な生産条件をより容易に評価し決定することができます。この他、ユーザーフレンドリーなウィザードとポストプロセッサの提供により、欠陥の早期診断と設計の修正に役立っています。

ステップ1 新しいプロジェクトを作成し、3Dソリッドモデルソルバーを選択します。アプリケーションの設定でレジントランスファーモールディングを選択します。

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ステップ2 充填設定:

射出成形の充填プロセスは充填時間により制御が異なります。レジントランスファーモールディングの充填プロセスは流量と圧力によって制御されます。レジントランスファーモールディング解析がサポートする2種類の充填設定:流量および圧力

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  • 流量制御:最大流入流量を使用し、プロファイル設定で流量の設定を行います。
  • 圧力制御:最大流入圧力と圧力分布を使用し、プロファイル設定で圧力の設定を行います。

この他に、ユーザーは充填プロセスにおける樹脂温度、金型の温度分布を調整することもできます。例を挙げると、最大充填時間とは、コンピュータによる充填分析が終了する時間を指します。

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ステップ3 硬化設定:

キュアリング設定では、ユーザーはキュアリングへのスイッチ時間圧力を指定することができます。

すでに最大充填時間(充填設定)に達している、もしくはキャビティに完全に充填されている場合、解析は充填からキュアリングへと切り替わります。この他に、ユーザーは充填体積もしくは充填時間を選択して、キュアリングへのスイッチ時間を指定することができます。充填体積(%)を選択した場合は、キュアリングへのスイッチはキャビティにユーザーが定義した充填%に達したときに行われます。充填時間(秒)を選択した場合は、キュアリングへのスイッチはユーザーが定義した充填時間に達したときに行われます。

設定したキュアリング時間に達すると、キュアリング解析は終了します。キュアリング圧力は基準圧力と圧力分布をもとに制御されます。終了時充填圧力もしくは最大硬化圧力から基準硬化圧力を選択します。キュアリング圧力分布はプロファイル設定の圧力曲線から選択できます。

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ステップ4 RTMタブのRTM境界条件の下にある設定をクリックすると、Designerのワークスペースが起動し、ベント境界条件の設定が行えます。設定完了後、RTM境界条件の関連項目がチェックされます。ユーザーはワークスペース内でベント境界条件を設定することができます。

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ステップ5 ワークスペース内でベント境界条件の追加(Venting BC)をクリックし、ベントBCの位置を選択します。選択されたベント位置付近の表面にベント境界(Venting BC)が定義され、設定完了後 predict-filling-behavior-in-resin-transfer-molding-through-simulation-tool-9をクリックします。ベント境界の定義を行い、残りのプロジェクトの設定を完了した後、ユーザーは充填とキュアリング解析を行うことができます。

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異なるベント境界条件が樹脂流動に与える影響

下図に示すように異なる長さのベント境界(venting boundary)を解析した結果、両者に異なる樹脂流動が発生していることがわかります。

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