- 顧客名:Mold Automation Education
- 業種: 大学機関
- ソリューション: Moldex3D eDesign
- 地域: 台湾
MAERC (Mold Automation Education Resource Center of Chung Yuan University) は、「高精度メカトロニクス教育促進プログラム」の下で2001年に文部大臣によって創設されました。MAERCのミッションは教育機関と成形技術を持つ個別の研究機関の連携を目指すことです。MAERCは基礎研究と教育サポート、国際的な成形技術交流、e-ラーニング環境の構築などを通し、産学の連携を推進しています。
概要
プラスチック射出成形により、高速かつ大量生産が可能になりました。しかしプロセス起因のそり変形問題の解決は依然として簡単ではありません。このケーススタディは肉厚の変化(平板と40%の急激な厚み変化を持つ平板の比較)と、異なる金型温度 (30℃, 40℃, 60℃)よるそり変形を観察します。解析結果からそり変形問題を解決するソリューションを考察し、製品厚みを減らすための産業用途向けの設計ガイドラインを提案いたします。
課題
製品設計が複雑になればなるほど、製品厚みは成形品の寸法精度を左右する重要な要因となり、品質や生産量に大きな影響を及ぼします。また、そり変形には温度、肉厚の均一性、残留応力、冷却時間などといった多くの要因があります。公差要求をクリアするため、適切な制御と適切な設計が必要不可欠です。
ケーススタディ
従来は、成形条件パラメータを修正することで体積収縮やそり変形を解決してきました。しかし、欠陥を回避するために成形条件パラメータだけを修正することは簡単ではありません。このケーススタディは、金型温度をうまく制御することで急激な厚み変化のある製品のそり変形を効果的に改良、制御することを目的としています。この研究結果を元に設計標準を確立し、産業で活用することが期待されています。製品の肉厚と温度がそり変形に及ぼす影響を理解するために、このケーススタディでは平板と厚み変化が急激な(40%)片面平板と、充填を均一にする特殊なファンゲート設計を取り扱います。
解析結果と実際の製品
製品の両側に異なる温度パラメータを適用すると、そり変形が生じると予測されます。そり変形の上方はU の形になり、下方はU の逆向きになります。そり変形ノードに関しては、平板とゲートの接触部分を10等分し、そり変形解析結果を観察します。 9個のそり変形測定ノードを、元の平板と改良後の平板の両方に配置します。
9 個の測定ノード配置(左図)。そり変形形状(U-形と逆U-形)
解析結果と実験結果から観察します。コア温度が一定高温(30-75℃, 45-75℃, 60-75℃)の時の平板は、逆面に凹みができます。厚み変化が急激な平板は、キャビティ側がくり抜かれるため、体積収縮は小さくなります。逆にコア側の体積収縮が顕著になります。そり変形の規模は、金型両側の温度変化レベルによって変化します。
温度変化が示すように、温度の差異が大きいほど製品のそり変形は大きくなります。一方、キャビティの一定温度が高温(75-30℃, 75-45℃, 75-60℃)ならば、平板にはU-形の歪みが生じ、片側のくり抜かれた部分が効果的にそりを改良するために、体積収縮は小さくなります。従ってこの電子機器カバーのケースでは、厚み変化と温度の制御によって、公差要求に適合する製品を実現できることがわかります。
元の設計と改良後の線形のそり変形解析結果
Moldex3Dの解析結果と実験結果は一致しています。Moldex3D 解析結果から考察すると、肉厚変化と温度変化の制御ファクターは製品品質に大きな影響を及ぼします。 Moldex3D シミュレーションソフトウェアを使うことは、初期の設計段階で流動、体積収縮、そり変形挙動を予測するためのソリューションとなります。実際の製造に高精度な解析結果を活用することで、莫大なコストがかかる試作品の繰り返しを省略することができます。