シミュレーション主導・AI加速による冷却設計プロセスを牽引する

 

 

顧客情報

  • 顧客名:Institute of Polymers and Composites (IPC), University of Minho
  • 産業:研究機関
  • ソリューション:Cool, Conformal Cooling

ポリマー・複合材料研究所(Institute of Polymers and Composites:IPC)は、2006年よりミニョ大学(University of Minho:UMinho)に属する研究ユニットとして、ポリマーおよび複合材料の科学・技術分野における産業的・社会的ニーズや課題の解決を目的に研究活動を行っている。

試行錯誤型アプローチから構造化探索へ

ポルトガル・ミニョ大学(University of Minho)に属するポリマー・複合材料研究所(Institute for Polymers and Composites:IPC)では、射出成形における長年の課題の一つである「品質を損なうことなく、迅速かつ均一な冷却を実現する」問題に対し、シミュレーションと人工知能(AI)を活用して取り組んでいる。

同研究所は、シミュレーションを起点としたワークフローを採用し、PCA に基づく最適化目標の選定、人工ニューラルネットワーク(ANN)によるサロゲートモデル構築、さらに多目的進化アルゴリズム(MOEA)による最適化を組み合わせることで、従来は数週間を要していた試行錯誤のプロセスを、構造化されたデータ駆動型の設計探索へと進化させた。

より良い設計判断を支えるシミュレーションと AI

射出成形において冷却工程は、成形サイクル全体の約 70~80%を占めるとされ、残留応力、反り変形、寸法変位の主要因となる。コンフォーマル冷却回路(Conformal Cooling Channels:CCC)はこれらの課題を緩和する有効な手法である一方、そのレイアウト設計は、サイクルタイム、温度均一性、さらには製造性といった複数の目的が絡む多目的最適化問題となる。

IPC チームは、この課題に対し Moldex3D を用いた設計評価と、AI を活用した設計空間探索を組み合わせることで対応している。このアプローチにより、従来の直線穴による冷却回路設計と比較して、より均一な温度分布と短い成形サイクルを同時に実現する設計案を安定して導き出すことが可能となった。

適用事例:コンフォーマル冷却を用いた薄肉カップ

本手法を具体的に示すため、IPC チームは薄肉カップを対象としたケーススタディを実施した。Moldex3D を用いて冷却回路の配置、直径、間隔を評価し、AI によって探索空間を効率的に絞り込み、高付加価値な設計案を抽出した。その結果、従来レイアウトと比較して予測サイクルタイムの短縮に成功し、CCC と AI の組み合わせが「調整が難しい設計」を「合理的に説明できる設計」へと変えることを実証した。

図1 コンフォーマル冷却回路(CCC)の設計例

IPC チームのワークフロー

射出成形プロジェクトでは、数十項目に及ぶ評価指標を同時に扱う必要がある。IPC チームは主成分分析(PCA)を用いて、問題の本質を損なうことなく最適化目標を絞り込んでいる。さらに、Moldex3D の解析結果を学習データとして ANN サロゲートモデルを構築し、温度均一性や冷却時間を高速に予測する。

その後、多目的進化アルゴリズム(MOEA)を用いて数千に及ぶ実行可能な設計案を効率的に探索し、有望な候補については Moldex3D により再検証を行う。最終的には単一の「最適解」ではなく、トレードオフ関係を明確に示すパレートフロントを生成する。例えば、温度均一性をどの程度向上させる代わりに、どれだけのサイクルタイムを許容するかといった判断を直感的に行うことができる。

図2 最適化目標選定のための非線形主成分分析(NL-PCA)の適用

加速装置としての AI、基盤としてのシミュレーション

IPC チームは、CCC 設計における多目的 AI 手法に同様のアプローチを適用し、この手法が一過性の実験ではなく、高品質な金型設計と短サイクル化を実現する再現性の高いプロセスであることを検証した。

AI は探索を加速する役割を担う一方で、物理現象に基づくシミュレーションの重要性は依然として不可欠である。シミュレーションは、ANN や MOEA による探索を現実に即したものとするための、正確な物理挙動および材料特性を提供する。さらに Moldex3D は、繊維配向、熱挙動、流動解析といった 3次元的結果を通じて、ホットスポットなどの根本原因の特定や最終設計の妥当性確認を支援する。

最も重要なのは、すべての最適化指標が金型製作前に Moldex3D 上で検証される点であり、これにより製造リスクの低減とコスト削減が実現されている。

図3 2 種類のゲート案と NL-PCA により選定された 4 つの目的を考慮した MOEA 適用後の結果

IPC の研究成果に関する参考文献:

  • Gaspar-Cunha, Melo, Marques, Pontes. Methodology for Designing Injection Molds: Data Mining and Multi-objective Optimization. In: Applications of Evolutionary Computation (LNCS, 2025). SpringerLink
  • Gaspar-Cunha, Melo, Marques, Pontes. Optimization of Conformal Cooling Channels for Injection Molding: Multi-Objective AI Techniques. GECCO 2025. ACM Digital Library+1
  • Gaspar-Cunha, Melo, Marques, Pontes. Application of AI Techniques to Select the Objectives in the Multi-Objective Optimization of Injection Molding. International Polymer Processing, 40(3), 2025. De Gruyter Bril

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