Moldex3D 成功事例 – SimpaTec 社


顧客情報

SimpaTec シミュレーション&テクノロジーコンサルティング社(ドイツ)は、シミュレーションを用いた工程とコンポーネント最適化という事業分野にプラスチック製品とサービスを提供しています。また昨今の技術移転が起きている中華人民共和国においてもビジネスを展開しています。いずれにおいても長年の経験を生かしたビジネス展開が注目されています。
(記事: https://www.simpatec.comKunststoffe International社 :Peter Felber 氏 と Cristoph Hinse氏

2007年1月、自動車産業からの顧客がIMLで自動車の冷暖房システムのパネルモジュールの開発で Schuster Kunststofftechnik 社と契約を交わしました。契約成立には、価格と品質、工程パラメータ、サイクル時間、ゲートシステム、その他特殊な条件が全て一致しなければなりませんでした。 これに際し、IML 社専門家はSimpaTec シミュレーション& テクノロジーコンサルティング社のエンジニアにシミュレーション技術を用いた射出成形工程と製品の最適化を依頼しました。

充填解析から変形解析:全ての工程のシミュレーション

独自の知識から、 Schuster社はシミュレーションにはPCフィルムの正確な熱機械特性が必要であると理解していました。結果として SimpaTec社は、台湾で開発された射出成形シミュレーションソフトウェアであるMoldex3Dを利用しました。このMoldex3Dは、長年に渡りドイツ自動車産業でも多くの成功事例があるシミュレーションソフトウェアでした。これを用いれば充填から変形までの一連の工程をシミュレーションできます。

Moldex3D には 2.5Dシミュレーション機能もありますが、 SimpaTec 社は3Dシミュレーションを採用しました。これにより信頼性の高い解析を実行することができました。この機能の中でも高品質なメッシュ作成機能には目を見張るものがあります。プリズム、ピラミッド、ヘキサ、テトラ といった要素を持つメッシュを利用することができます。金型にもシミュレーション技術を使用できるため、最近の特殊な冷却システムでも解析を実行することが可能です。

最初の課題は、従来の冷却ランナーマニホールドはもともとホットランナーシステムに使用されているものでした。シミュレーションではホットランナーノズルをできるだけ金型に近づけることで解決しました。修正後のコールドランナーは修正前のものに比較すると、ショット毎に 12.45g 材料消費を低減、これは60,000 ユーロ、つまり約6年分の生産時間の節約に相当します。 適切なゲートも、流動を解析した結果に基づいて検証され、決定されます。これにより圧力 130 bar低減し、充填を完璧に実行することができます。これはコア周囲のメルトフローを理想的にし、構造性に効果的です。フローパスの計算には、メルトフローが重要です。

変形の影響とは?

IML 記事の設計の特別な試みとは、製品の変形でした。変形のシミュレーションでは、驚くべく結果が出ました。ゲート位置、工程パラメータは変形に影響を及ぼさないということです。製品の形状と非対称な構造こそ、深刻な変形の原因であるということがわかりました。

この現象は、ドームの厚肉部分に大規模な体積収縮が起き、ベースプレートの剛性の減少を引き起こします。解決策は、ゲート位置を変更するのではなく、製品形状の見直しが必要です。

プロジェクトマネージャ達の間で議論された内容は、変形の原因が解析結果で明らかになり、またその解決策も提示されました。 Moldex3Dは工程全てを解析することができたのです。この 3D シミュレーションは問題点を明確にし、IML 工程の信頼性の高いシミュレーションに必要不可欠なものでした。フィルムと製品の間の境界レイヤでの温度分布が変形に大きな影響を及ぼしていることがわかりました。金型の温度条件も3次元でシミュレーションされ、IML 工程の冷却システム改良に役立ちました。 このような結果を元に Schuster Kunststoffechnik社はより効果的な冷却回路装置を作成しました。

変形が製品の幾何学的形状に大きく依存しているため、Schuster Kunststoffechnik社は顧客にそのことを伝えました。光学特性やオペレーティングユニットの関係で、製品の幾何学的条件の変更は簡単ではありません。そのため顧客は妥協案を提案しました。全ての機械寸法公差を、製品隣接部分に設定しました。結果として解析は成形工程前に設計変更を行いました。

変形シミュレーションは品質、量ともに実際のものと一致していました。顧客は当初、予測される変形部分に驚いていましたが、解析結果を金型設計に考慮することができると解り、安心しました。

要約

以上のように、 3-Dシミュレーション解析が製造工程の主要な問題を検証できることがお解りいただけたと思います。 現実的なシミュレーションが、設計変更を促し、問題解決を可能にしたたのです。 この機能がなければ、変形を回避することは大変難しいでしょう。これにより、自動車産業の深刻な課題である、コスト、設計の自由、魅力的な外観などを解決することでしょう。この多様性のある3次元射出成形シミュレーションは、将来、特殊な射出成形工程を含む製品開発にも力を発揮するでしょう。

* This article was appeared in Kunststoffe international 2007/11, Page 60-62


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