プラスチック成形品のゲート設計は形状、材料特性、成形サイクル、その他ファクタを考慮して行われます。様々なサイズのゲート設計に変数を使用するため、実際の成形工程での固化時間を正確に予測することは簡単ではありません。通常、実際の成形現場で成形条件が調整されるため、ゲート固化時間はそれによって変化します。従って保圧時間の計算時に保圧サイクルの延長の必要性を判断することが難しくなります。不十分な保圧は、製品の体積収縮を必要以上に大規模にしてしまうことになります。さらに不均一な収縮、そり変形、ヒケなどといった表面欠陥の原因にもなります。Moldex3Dを用いて計算パラメータのオプションにてゲート固化時間を評価し、保圧時間の基準の設定も可能になります。ゲート設計、保圧パラメータ、成形条件を適切に設定すれば、この機能が製品品質を強化してくれます。

ステップ 1: 最初にモデル全体をインポートします (図 1)（製品とランナーシステムを含む）

図 1 解析モデル

ステップ 2-1: モデルをインポートした後、材料と成形条件パラメータを設定します。次に “計算（computation）”ページに進みます。

ステップ 2-2: “Flow/Pack” プロジェクトの下の計算パラメータで、最初に “ゲート固化時間基準の予測（Predict gate freeze time criterion）” オプションを選択します。その下には3つの条件があり、選択できます。これはユーザーの設定内容に従って数字が表示されます。 “固化時間（秒）”は、ゲート断面が設定温度よりも低い時点（例：110.85 oC）と定義されます。フローレート (cc/sec)は、断面設定（例0.1）よりも低い値でゲートを通過するメルト速度と定義されます。プラスチック重量変化率 (%/秒)は、設定値（例：0.1）よりも低い製品の重量変化です。設計者は1-3のオプションを選択できます。3つ全てのオプションを選択した場合、ゲート固化時間の算出値は全ての条件の影響を受けます。

ステップ 3: 解析実行後、保圧解析結果を開き、 “ログファイル表示”をクリックします.

ステップ 4-1: 保圧時間が短すぎると、下図の赤丸のように” Gate is not frozen yet “（ゲートはまだ固化していません）というメッセージが表示されます。 その場合は、保圧時間を延長してください。

ステップ 4-2: 保圧時間が十分であれば、下図の赤丸のように”Freeze Time of Gate = 予測値” と表示されます。この例では 5.559 秒です。

この機能はマルチゲートもサポートしています。その場合、各ゲートそれぞれについて固化時間を評価します。

ステップ 5: 以下が解析結果比較です。成形条件は全て同じです。比較しているのは、保圧時間が3秒/ 6秒での製品の変形規模です。 この解析結果から、寸法精度の高い固化ゲートは、固化していないゲートよりも変形規模が小さいことがわかります。

(a) 固化していないゲートのトータル変位 0.033~9.811 (x10-2)mm (保圧時間 3秒)

(b) 固化したゲートのトータル変位 0.044~8.111 (x10-2)mm (保圧時間6 秒)