コンフォーマル冷却回路ウィザードの強化、コンフォーマル冷却回路への対応度が向上

プラスチック部品の成形サイクルにおいて、冷却時間が全体の70~80%程度を占めており、良好な冷却システムを設計することにより、そり変形が緩和するだけでなく、生産リードタイムも減少します。そのため、冷却回路の設計は冷却効率、生産効率およびコスト管理に影響を及ぼす重要な手順です。冷却効率のばらつきを抑えるため、Moldex3Dでは冷却解析に関するモジュールおよびツールを提供しており、最適な冷却回路設計を可能にしています。また、Moldex3Dのコンフォーマル冷却回路ウィザードを利用すると、製品の形状に即した冷却回路や深く入り込んでいて触れるのが難しい箇所の冷却回路の設計をすばやく作成できます。また、今回のMoldex3Dのコンフォーマル冷却回路ウィザードは、コンフォーマル冷却回路作成への対応性がさらに強化されており、ウィザードがすばやくコンフォーマル冷却回路を製品のサーフェス上に投影して生成するため、ユーザーの作業は2D冷却回路経路の作画に限定されます。冷却回路を最適化することにより、冷却回路の放熱効果の向上、製品品質の改善および冷却時間の短縮が実現します。

Step 1. ジオメトリモデルのインポート

新しい射出成形(Injection Molding)プロジェクトを作成し、メッシュタイプ(Mesh Type)としてSolidを選択します。ジオメトリのインポート(Import Geometry属性(Attributeその他のウィザードの各種機能を利用し、プラスチック部品(Part)およびモールドベース(Moldbase)が含まれるモデルオブジェクトを作成します。

注:

  1. メッシュタイプはShellおよびmfeファイルに対応していません。コンフォーマル冷却回路ウィザードを使用するには、事前にモールドベースを作成する必要があります。
  2. 製品をインポートした後、サーフェスメッシュを作成したうえでアスペクト比(Aspect Ratioを良好に保ち、直接CADから出力した*.stl形式の使用を避ける必要があります。

Step 2. コンフォーマル冷却回路の作成

2-1 2D冷却回路経路の作画

事前に2D冷却回路経路を準備したり、ツールタブ(Tool Tabにおいて、点・線ツールを使って製品に近い箇所に冷却回路経路のラインを描いたりすることができます。

注:

  1. 単一の冷却回路ラインを描くには、連続し、かつ単一平面上にある必要があります。注水・排水点は、異なる軸方向に配置できます。
  2. 現場での応用を考慮し、各冷却回路は過度に複雑なものやパーティング面を横切るものを避ける必要があります(Stuidoでこのような設計を行うことは可能です)。
  3. ラインの位置がプラスチック部品に干渉しないようにする必要があります。
  4. 2Dレイアウト全体の先端および末端が製品の投影面からはみ出ている必要があります。
  5. 作画ライン投影の位置は、投影の失敗を防ぐために、製品のアンダーカット箇所を避ける必要があります。

2-2 コンフォーマル冷却回路の作成

モデルタブ(Model Tabにおいて、コンフォーマル冷却回路ウィザード(Conformal Cooling Channel Wizardをクリックし、モデルおよび曲線について、順次選択したうえで製品のジオメトリに基づいてパラメータ設定を行います。設定が完了し、確定をクリックすると、2D曲線が製品のサーフェス上に投影され、コンフォーマル冷却回路が生成されます。

注:ウィザード内のパラメータを変更すると、実際の製品およびいくつかの細かな特徴への接近の程度にも違いが生じます。実際の形状に即したものであるほうがよいといえますが、設定に際しては、実際の加工可能性およびメッシュの生成品質を考慮する必要があります。

  1. 法線ベクトル距離(L)は、プラスチック部品と冷却回路の間に十分な間隔を確保する必要があります。
  2. 冷却回路直径(D)は、冷却回路の設計基準に適合していなければなりません。
  3. 最小モールドベース厚さ(T)は、モールドベースが極度に薄い箇所を設けないようにする必要があります。
  4. 曲線の軸方向設定は、生成する冷却回路の方向に合わせなければなりません。

Step3. メッシュおよび解析の設定を完成

全てのコンフォーマル冷却回路の設計を完了させた後、入口/出口(Inlet/Outletをクックして注水・排水口を設定します。最後に冷却回路を確認(Check Cooling Systemをクリックし、確認が完了すると冷却システム設計が完了します。その後、メッシュタブ(Mesh Tab)において、ソリッドメッシュを作成して最終確認(Final Checkをクリックすると、成形条件などの解析パラメータの設定および計算の送信を行えるようになります。解析シーケンスに冷却が含まれていることを確認する必要があります。計算が終了すると、冷却結果を確認できます。

(計算パラメータ内の冷却において冷却回路詳細解析を有効にすると、シミュレーションの効果を高めることができます)

Step 4. 結果の解釈およびコンフォーマル冷却回路の効果

コンフォーマル冷却回路の設計を製品の形状に近づけると、製品が温度分布がより一様になり、蓄熱が改善されます。

 


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