一般的に、成形プロセスにおいて発生する金型インサートの変形の原因には二つあります。一つは充填時および保圧時に、高スクリューの力下で樹脂がキャビティに向かって前方に押し出されるときに発生します。通常、 200 MPa 以上の圧力がかかると、金型インサート(エジェクタ、リフター、可動部)の変形が起きやすくなります。もう一つはバランスの悪い温度分布です。温度分布のバランスが悪いとモールドコンポーネントの熱拡張/熱収縮が不均等に起こります。金型変形は潜在的に金型寿命に影響を及ぼすだけでなく、最終製品の寸法精度にも影響を及ぼします。この問題を解決するために、Moldex3D は異なる成形条件下での応力とモールドベースコンポーネントの変位解析結果を提供し、ユーザーは金型変形問題を検証することができます。さらにMoldex3D を設計とプロセス修正に使用することで、ユーザーは成形条件を最適化でき、変位量を減らすように成形プロセスを構築できるようになります。金型変形解析では、 Moldex3D ユーザーは数値モデルを使って全ての金型コンポーネントを作成することができ、全ての金型部品の影響を考慮して高精度な解析を実行できます。Moldex3Dの Stress モジュールは2つの重要なパラメータ(充填時のキャビティ圧力と冷却時以降の金型温度分布)を考慮することで、ユーザーが指定する異なる成形条件や金型設計での多様な成形プロセスを正確にシミュレーションすることができます。
Step 1: Moldex3D Project を起動し、モールドインサートを含むモデルを読み込みます。
注: 金型変形解析を実行するためには、Moldex3D Stress Module のアドオンライセンスが必要です。
Step 2: 計算パラメータを開き、Mold Deformation タブをクリックします。Settings をクリックして Moldex3D Designer インターフェースを呼び出し、境界条件の設定を行います。金型変形解析を高精度に行うためには、境界条件を適切に設定することが非常に重要です。
Step 3: Mold Deformation BC 設定インターフェースで、ユーザーはノードの変位条件を設定することができます。 をクリックして新たな拘束BC を作成し、適用するノードを選択します(黄色に表示されます)。選択を確定するために、 をクリックします。次に条件情報を指定します: 名前とx, y, z 方向の変位
金型変形境界条件の設定画面
拘束境界に適用されたノードは黄色く表示されます
Step 4: ノードはデフォルトで固定(0 mm変位)に設定されていますが、ユーザーはいつでも条件を編集/再割り当てを行うことができます(既存のアイテムをクリック)。あるいは矢印 ( ) ボタンをクリックして、選択したノードを再定義することも可能です。その後、設定を確定するために、 をクリックします。
Step 5: 計算パラメータ画面に戻り、Mold Deformation タブの下にあるDisplacement boundary conditionにチェックを入れます。これはモデルに BC が割り当てられていることを意味しています。設定を確定するために OK をクリックし、新規Run ウィザードの解析プロジェクトの他の設定も完了してください。
Step 6: 金型変形解析を実行するために、プロジェクトワークスペースの 解析 をクリックします。解析シーケンスにMold deformation –Md を追加し、Run Now(すぐに実行)をクリックします。
Step 7: 金型変形解析の解析結果:
Von Mises 応力は応力テンソルから算出されるスカラー応力値です。これは延性材料に外部からの力や応力がかかった時に、降伏が始まるかどうかを検証するときに使用できます。 Von Mises 応力が部分的にでも降伏力に達すると、材料は塑性的に変形します。
トータル変形解析結果は、それぞれのインサートコンポーネントがどのように変形するかを表示します。これは成形品の寸法品質に直接的な影響を及ぼします。