複雑な形状でもMoldex3Dのプリプロセスツールにより手軽に精密なメッシュモデル作成が可能

CoreTech System製品部部長・蔡耀震

複雑な形状を持つ樹脂製品の樹脂流動解析のプリプロセスは往々にして多大な手間と時間を要します。その理由として次の点が挙げられます。

  1. 設計会社、金型製作会社、生産工場から組立工場などに至るまで、異なるCADソフトウェアを使用しており3Dデータファイルが一致しないケースが多く、入手した3Dデータファイルはすでに何度もファイル変換が繰り返されており、データの互換性により3Dモデルデータの破損の問題が頻繁に生じます。
  2. 3Dモデルデータの破損によってメッシュ作成不具合が発生するおそれがあるだけでなく、複雑な形状を持つ製品の場合には、鋭角で細長く面取りされたメッシュ要素を生じさせ、メッシュ品質が低下し樹脂流動解析時に問題が発生しやすくなります。
  3. 複雑なランナーまたは冷却チャネルを持ったモデルの場合でも自動3Dソリッドメッシュ作成の成功率および品質を向上させておりますが、複雑なランナー・冷却チャネルの場合は一般的にビーム要素を用いて自動で3Dメッシュ作成を行うことが困難なため、直接ランナー・冷却チャネルの3DCADモデルを利用する必要があります。

一般的に上記の問題に直面した場合、3Dモデル形状およびメッシュを修復する必要があるだけでなく、樹脂注入口およびゲートをキャビティに密着させるなど、3Dモデル形状または冷却チャネルのレイアウトを修正してメッシュ作成に必要な条件を満たす必要があります。これらのプリプロセスに多くの時間を費やすことによって、ようやく樹脂流動解析に適したメッシュモデルを作成することができます。

プリプロセスの負担を軽減するため、Moldex3D Studioはプリプロセス技術を強化し続けてさまざまなプリプロセスツールを提供し、効率的に3Dモデルおよびメッシュの処理を行えるようにしています。その主なツールは次のとおりです。

ジオメトリ(3Dモデル)修復ツール

ジオメトリ修復タブおよびジオメトリ破損ツリーを追加し、ジオメトリ修復ツールを提供してジオメトリ処理フローを簡略化しました。

図1 ジオメトリ修復タブ、ジオメトリ破損ツリーおよびCAD機能を追加

「自動縫合」および「縫合」

Moldex3Dの2020バージョンでは2種類の異なる機能を利用して「縫合」を行えるようになりました。一つは以前から提供されている「自動縫合」であり、ユーザーが定義する許容値を利用して全域のジオメトリのフリーエッジ(free edge)を修復します。新たに追加された「縫合」を利用すると、エッジを指定して縫合することができ、異なる位置のフリーエッジループに対して異なる許容度を用いて縫合できます。

面削除および面貼付け

問題のあるジオメトリ面を高品質の曲面に再生成するため、Moldex3Dは面削除および面貼付けの機能を提供しています。面貼付けを利用するには曲線またはジオメトリのエッジ(一般的に2~4本)を選択する必要があります。そのため、Studioは、ツールタブにおいて、エッジ曲線抽出曲線結合および曲線ブリッジのようなより多くの曲線機能を提供し、曲線データを整理して曲面を作成できるようにしています。

図2のように面取り箇所に破損がある場合、まず問題の曲面を削除します。フリーエッジの数が4本を超えるため、エッジ曲線を抽出してから曲線の結合および曲線ブリッジの整理を行います。最後に面貼付け機能を用いて曲面の再生成を完了させます。

図2 新しいジオメトリツールの応用例

ジオメトリ・メッシュ破損ナビゲータ

ジオメトリ破損ツリーおよびメッシュ破損ツリーにプロジェクトナビゲータを追加しました(図3左)。この機能を利用すると、異なる破損間を素早く切り替えたり、破損位置を拡大したりすることができます。複雑なジオメトリに対して膨大なメッシュデータが存在する場合において、破損位置の迅速な検出をサポートします。

Studioはサーフェスメッシュ干渉チェック機能を追加し、重大なサーフェスメッシュ干渉をエラーとして表示します。ユーザーはこれらの重大なメッシュ干渉の確認・修復を行わなければソリッドメッシュを作成することができません。図3右に示すように、金型に冷却チャネルを配置するスペースがないために重大な干渉が生じる場合、メッシュ破損ツリーが検出します。

図3 破損ツリーのメッシュ検出ナビゲータおよびメッシュ破損ツリーの干渉検出機能

混合冷却チャネル

Studioは曲線とジオメトリの混合冷却チャネルに対応しており、冷却チャネルシステムの複雑な部分においては直接ジオメトリ冷却チャネルを用いてシミュレーションを行い、その他の部分においてはワイヤーフレーム冷却チャネルを用いることができます。また、Studioは、金型メッシュ作成時に冷却入口と出口を金型にぴったり合うように調整できる機能を備えています。

図4 Moldex3D Studio

Moldex3D Studioは、このほかにも冷却チャネルループグループの自動整理および表示、冷却チャネルシステム検査項目の調整による重大な破損の表示、ならびに入口・出口自動指定機能の強化など、さまざまな冷却チャネルに関連する機能を向上させています。

Moldex3D Studio 2020は、マルチカーブ・曲面ツールによる破損ジオメトリ修復の簡略化、ジオメトリ・メッシュ破損ナビゲータによる破損位置の迅速な検出、冷却チャネル機能の強化による混合冷却チャネル、冷却チャネルループグループ自動整理および入口・出口自動指定への対応など、さまざまなプリプロセスツールを提供し、より効率的に複雑なジオメトリおよびメッシュの処理を行えるようにしています。Moldex3Dはプリプロセス能力を更に向上させ、複雑な製品のメッシュ作成の手間を軽減し効率的にユーザーをサポートします。


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