シミュレーションによる電子ポッティングプロセスの最適化および製品信頼性の向上

コアテックシステム第一研究開発部シニアマネージャー 沈立軒 

電子ポッティングを行うメリット

ポリウレタン(PU)、シリコン樹脂またはエポキシ樹脂を用いた電子ポッティングには、次の各利点があります。

  • 絶縁性:ポリウレタン(PU)、シリコン樹脂およびエポキシ樹脂には絶縁性があるため、電子部品を湿気、ほこりその他の環境要素の影響を受けないよう保護し、設備の安定性および信頼性を高めます。
  • コンポーネントの保護:一般的に電動車やモバイルデバイス、特に高出力コンポーネントは、機械の振動や衝撃の影響を受けます。そのため、これらの材料は物理的な保護を強化し、損傷リスクを低減します。
  • 耐熱性:一般的にポッティング材は優れた耐熱性を持っており、高出力の電力を長時間供給した際に生ずる熱エネルギーの解決に役立ちます。
  • 充填および密封:ポリウレタン(PU)、シリコン樹脂およびエポキシ樹脂は、電子部品の周囲の隙間を充填し、内部に湿気およびほこりが侵入する可能性を最小限に抑え、製品寿命を向上させます。

電子ポッティング技術は、電子部品および製品の信頼性、耐久性および安全性を大幅に向上させます。

ポッティングプロセスにおける挑戦

しかし、ポッティングのプロセスにおいては、製品のライフサイクルおよび信頼性に影響を及ぼす化学収縮によって生ずる気泡(図1および図2)や、相転移の熱的影響および残留応力の問題(図3)があり、それを解決しなければなりません。

図1 電子モーター内の気泡

図2 プリント基板(PCB)底部の気泡

図3 残留応力

Moldex3Dの電子ポッティングシミュレーションでできること

Moldex3Dのポッティング技術を利用すると、ポッティングプロセスにおける流動応力をシミュレーションし、気泡の位置および大きさを効果的に予測できます。また、ポッティングのシミュレーションでは、相転移における温度変化、化学反応、ポストモールドキュアおよび収縮を総合的に分析・評価できます。

プロセスの確認および加工条件設定の調整

  • 流体、温度、フェーズおよび硬化領域をシミュレーション
  • 表面張力、キャピラリー力および重力の影響を考慮
  • ディスペンスヘッドおよびポッティングルートの設計を最適化
  • エアートラップなどの潜在的な欠陥を予測

ポストモールドキュアによるそり変形のシミュレーション

  • 数値シミュレーションによって相転移を可視化
  • 応力解放および化学収縮による影響を考慮
  • 温度、硬化率および圧力分布を考慮しポストモールドキュアプロセス中の変形を予測

Moldex3D数値シミュレーションによる高精度化

数値シミュレーションは、流動プロセスにおける流動状態から相転移および温度によって生ずる収縮およびそり変形に至るまでの成形プロセス各段階において完全な情報を提供します。これらの完全なデータは、生産能力の向上、精度の高い製品品質管理および製品開発プロセスの高速化に貢献します。


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