- 顧客名: Delta Group
- 業種: エレクトロニクス
- ソリューション: Moldex3D Advanced Package
- 国: 中国
(出典: https://www.deltaww.com )
概要
コンピュータが動いているとき、コンピュータ部品から熱が発生します。コンピュータの温度を下げるために、冷却モジュールが広く使用されています。 パワーマネジメントと冷却ソリューションの世界的なリーディングカンパニーであるDelta Groupは、革新的製品の開発のためにその専門技術を深めてきました。Deltaは設計検証と成形プロセス最適化のため、Moldex3D 射出成形シミュレーションソリューションを採用しました。Deltaは Moldex3Dを使い、冷却ファンブラケットの潜在的な成形欠陥を事前に検出し、さらに成形条件パラメータを最適化して製品品質を改良し、製造コスト削減に成功しました。
Fig. 1 コンピュータの冷却モジュールのファンブラケット
課題
- 残留応力による深刻な製品変形
- 平坦度要件2mmを満たさない
ソリューション
Delta Group は Moldex3D eDesign を使って製品変形の根本原因をクイック診断し、製品設計変更のフィードバックを行いました。このようにして Deltaは変形を最小限にするように設計最適化を行うことができました。
メリット
- 変形を3mm から 0.15mmに軽減
- 欠陥率は 45% から 16%に減少
- サイクル時間の短縮とコスト削減
ケーススタディ
冷却ファンブラケットの機能は、冷却コンポーネントの実装とサポートです。その平坦度は、組立て作業にとって極めて重要です。このケースでは、収縮が原因で冷却ファンブラケットの角が陥没し、要求される寸法スペックの0.2mm を満たすことができませんでした。よってここでも主要な目的は、寸法の安定性を改善することです。
Fig. 2 収縮により、冷却ファンブラケットの角が凹み、寸法公差を超えてしまいました
Fig. 3 製品変形は 0.3 mm.
製品品質を効率的に改良するため、Delta Groupの R&Dチームは Moldex3Dの流動解析、保圧解析、冷却解析モジュールを使い、元の設計の問題を明らかにしました。
Figure 4 は元の設計の流動解析結果です。構造上の問題により、製品強度に問題が生じています。充填完了時にコーナー部分が充填されるため、保圧が不十分です。これが製品収縮を引き起こし、製品強度に影響を及ぼします。
Fig. 4 流動解析結果
Figure 5で示すように、温度分布解析結果から保圧完了時の温度が230℃ (黄色)よりも高いことがわかります。この場合、厚い部分に内部熱集中が発生し、不均一な収縮を引き起こすことがあります。
Fig. 5 保圧温度分布解析結果
Figure 6 は冷却解析結果です。ここから冷却完了時(赤色)に熱集中が起きていることがわかります。これは製品変形や冷却時間の延長を引き起こします。
Fig. 6 冷却解析結果
問題の根本原因を明らかにした後、Delta Group はMoldex3D Warp 解析を使って、改良後の設計と元の設計:シングルリブ(元の設計)、ダブルリブ(修正後1)、円柱を含むダブルリブ(修正後2)の比較を行いました。この3つの設計の比較を行うことで、Delta Group はZ-変位の変化を観察し、ブラケットの変形を検証しました。解析結果から、修正後2のそり変形が最小(-0.39mm ~ 0.36)となり、この中で最も良い設計であることがわかりました (Fig. 7 ,8)。
元の設計(リブ) 修正後 1 (ダブルリブ) 修正後2 (ダブルリブ & 円柱)
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元の設計: 貧弱な構造 修正後 1: 標準的な構造 修正後2:最適な構造 |
結論
シミュレーション結果が実際の結果と一致しているため、Moldex3D シミュレーションソリューションはDelta Groupで高い評価を得ることになりました。 Z-変位は20%減少しました(0.3mm から0.15mmへ) 。さらに時間とコストの削減だけでなく、欠陥率が45% から16%に減少し、開発サイクルは3日も短縮できるようになりました。