ソウル科学技術大学校は冷却性能の研究にMoldex3D を採用

 

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ソウル科学技術大学校 (Seoul Tech)は、エンジニアリング、科学、テクノロジーの連携プログラムにより、工業専門の一流大学としての名声を集める大学機関です。 Seoul Techは1910年に実業補修学校として創立し、実用科学と応用研究に基づく教育を行ってきました。

概要

2005年からSeoul Techは、機械システム設計に注目した実験検証を行うため、Moldex3Dシミュレーション機能を導入しました。Seoul Techが発表した多くの論文は学界および産業開発に大きなインパクトを与えました。以下に紹介する研究はSeoul Tech のKeun Park 教授と、世界的に有名な企業であるLG Electronics Mold Technology Center との共同研究です。これはパルス金型温度制御を使って、冷却性能を調査したものです。Seoul Tech とLG Electronicsは共に、製品設計と生産性の最適化のためにMoldex3D シミュレーション結果を活用しています。

課題

現在、全ての製造業者は、製品の薄型化、軽量化、高性能化と同時に製品強度の実現に苦労しています。製品品質を確実にするため、成形時に金型温度を高くし、ウェルドラインや残留応力などの潜在的な問題を回避します。しかしこの場合、金型温度を上げることで製品の表面品質が改善しても、冷却時間やサイクル時間が長くなってしまいます。従って、金型温度を保ちながらも、いかに冷却時間を短縮するかが、高効率で費用効果的な製造を実現しようとする金型設計者にとって重大な課題となります。

ソリューション

このような問題を扱うには、金型温度の動的制御を用います。この研究では、パルス金型温度制御を利用することにより、成形の前/後に高温/低温の水を循環させることにより、製品品質と生産性の両方を向上できると考えました。冷却時には、サイクル時間に影響を及ぼさない程度に温度を高速に下げることができます。このシミュレーション結果は、従来の成形における冷却システムと比較され、加熱効率と冷却効率について調査されました。

ケーススタディ

この研究では、Seoul Tech は高精度なシミュレーション機能を持つMoldex3D を使って、金型の非定常温度を調査しました。パルス金型温度制御技術を採用し、金型表面温度の解析結果を従来の冷却システムと比較しました。Fig 3を参照してください。従来の冷却システムにおけるトータルのサイクル時間は21秒です。また各サイクルで60°Cの水が連続的に射出されました。一方、パルス冷却システムでは、最初に80°C 度の水が射出され、冷却液は40°C の水に代えられ、(充填の0.5秒の後)連続する11.5秒の間、射出されます。冷却時には、再度80°C の水が9秒間射出されます。

seoul-national-university-science-technology-utilizes-moldex3d-to-conduct-study-of-cooling-performance-1Fig. 3 従来の冷却システムとパルス冷却法の冷却時間の比較

Moldex3D の3次元非定常熱伝達シミュレーション機能を用いれば、どの時点においても温度分布を正確に予測できます。 Fig. 4 とFig. 5 は、従来の冷却システムとパルス冷却システムの金型温度分布の変化です。パルス冷却法では、高温水と低温水のどちらかが循環するため、サイクル時間に影響せずに金型温度を上げることが可能です。

seoul-national-university-science-technology-utilizes-moldex3d-to-conduct-study-of-cooling-performance-2Fig. 4 従来の冷却法を用いた金型温度分布の変化 (℃)
seoul-national-university-science-technology-utilizes-moldex3d-to-conduct-study-of-cooling-performance-3Fig. 5 パルス冷却法を用いた金型温度分布の変化 (℃)

Fig 6(a)のパルス冷却システムの場合、成形サイクル時間が約20 秒短縮できました。このようにパルス冷却法を採用することで、高効率を実現できたことが分かります。冷却段階の最後の温度を比較すると、パルス冷却制御の最高温度は、従来の冷却よりも3.2℃高いことが分かります(Fig 6(b)参照)。また、パルス冷却制御の最低温度は、従来の冷却よりも7.3℃低いことがわかります。

seoul-national-university-science-technology-utilizes-moldex3d-to-conduct-study-of-cooling-performance-4 Fig. 6(a) トータル成形サイクル             Fig. 6(b) 成形サイクルの最終段階 

結果

Moldex3D の3次元非定常温度分布解析結果を利用することで、非定常テクノロジーの効果を正確に予測し、金型製造段階の前で潜在的な問題を回避できます。この研究結果から、加熱効率と冷却効率を簡単に可視化できることがわかりました。このシミュレーション結果は、実験検証を高速で実行する効率的な方法です。Seoul TechはMoldex3Dアドバンストパッケージとソリューションアドオンモジュールを使い、特殊な製造工程(圧縮成形、ガスアシスト射出成形など)の実験検証も行うことができます。現在Moldex3Dは、多くの主要な教育機関で導入されており、単なる教育研究目的だけではなく、学問、経済、技術面での競争力を強化することにより多くの学生をサポートしています。

*注: この内容は「2012 International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology」にて発表されたものです。


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