キャビティ表面の壁面すべりは無視できる場合がほとんどですが、軽量のガイドプレートや薄肉製品、非常に滑らかに研磨された金型内の壁などの場合には、壁面すべり挙動が流れ挙動に大きく影響するため、解析においてもその影響を考慮する必要があります。Moldex3D R13.0では、壁のせん断応力閾値、摩擦係数、そして、壁面すべり境界条件を指定することで、キャビティ表面における壁面すべりによる影響を解析できます。摩擦係数または壁面のせん断応力閾値が上昇するにつれて、キャビティ表面は粗くなります。したがって、その場合には流れ抵抗が上昇します。
Step 1: 解析実行前に壁面すべり境界条件を設定するには、Computation ParameterダイアログのFlow/PackタブからAdvanced… ボタンをクリックします。
Step 2: Apply wall slip boundary conditionにチェックを入れWall Slip BCパラメーターを指定します。摩擦係数は流れフィールド、摩擦抗力、壁面せん断応力閾値の関係を表します。壁面の臨界せん断応力は、流動状態が非すべり(Non-slip)挙動からすべり(Slip)挙動に移行するときの臨界せん断応力です。OKをクリックして設定を適用します。
Step 3: 充填解析の実行後、壁面すべりの影響を考慮しない場合と、考慮した場合の結果を比較します。下図に示すように、壁面すべりによる影響の考慮の有無により、メルトフロント時間の結果が異なります。
壁面すべり挙動の例(メルトフロント時間)