この解説はShellシミュレーションのユーザー、とりわけ自動車メーカーやモデルが比較的大きくて素早い解析を必要とするユーザーを対象にしています。Shellモジュールを利用することにより、解析演算時間および解析資源要件を大幅に減らすことができます。薄肉シェルオブジェクトについて言えば、ShellとSolidのいずれを使用するかによってメッシュ処理および解析演算時間に違いが生じます。Shellの強みは、メッシュ作成のフローが比較的簡単であること、ジオメトリを手軽に修正できること、および比較的少ないメッシュ数で高精度の解析を行えることにあります。そのため、Moldex3Dは、Shellユーザーの操作フローの利便性を高めるため、Studioにおいて完全なShellモジュールを提供しています。それを利用することにより、ユーザーはStudioを使用してほかのモジュールと整合的にメッシュのプリプロセスおよび解析の設定を行えます。また、今回もShellによるLinux上での解析およびShell DOE機能との結合に対応しており、解析演算時間を大幅に短縮し、ユーザーが最良の設計プランを素早く入手できるようになっています。以下では、Studioにおけるシェルモデルの作成方法および関連スキルについてご紹介します。
Step1. プロジェクトの作成
新しいプロジェクトを作成してプロセスタイプ(Molding Type)をクリックし、射出成形(Injection Molding)を選択します。メッシュタイプ(Mesh Type)はShellを選択します。メッシュをインポート(Import Mesh)をクリックし、完成済みのメッシュモデル(MSH)をインポートして解析のプリプロセスを行います。Studioにおいて準備したシェルモデルを選択する場合は、ジオメトリのインポート(Import Geometry)をクリックしてプラスチック部品およびポイント・ラインコンポーネント(ランナーおよびメルトエントランス)のサーフェスメッシュ(STP)をインポートするか、ツールタブの機能を利用して自身でプロットします。その後、設定プロパティで解析のプリプロセスを完了させます。
注:ShellとSolidのワークフロー画面の最大の違いとして、Shellではモデルおよびメッシュのタブが統合されていることが挙げられます。
- プロセスタイプは射出成形にのみ対応しています。
- ジオメトリタイプはIGSファイル、STLファイルおよびNASファイルに対応しています。
- メッシュタイプはMSHファイルに対応しています。
Step2. プラスチック部品の厚さの設計変更
モデルタブ(Model Tab)において厚さの変更(Modify Thickness)をクリックして厚さの設計変更を行います。厚さを変更するフィーチャーメッシュを選択し、選択後に「次へ」をクリックします。均一厚さ(Uniform)を選択して厚さを変更し、確認をクリックします。厚さの変更が完了すると、設定した厚さ分布が表示されます。
設計変更の完了後、モデルタブ(Model Tab)において最終確認(Final Check)をクリックして最終確認を行い、モデル設定を完了させます。
注:厚さを段階的に変更させる場合は、非均一厚さ(Non Uniform)を選択して対応するノードの厚さを変更する必要があります。
Step3. 材料およびプロセス条件の設定
フロー画面でメインタブに切り替え、材料ウィザード(Material)をクリックして材料を選択します。熱硬化性材料を使用する場合は、材料名の後ろに(Shell)が加えられている項目を選択してください。プロセス条件(Process)をクリックして関係パラメータを設定します。プロジェクト→充填/保圧→冷却の順に設定を行い、パラメータ設定の完了後、完了(Finish)をクリックして設定を完了させます。
Step4. 結果の判読
解析順序(Analysis)をクリックして解析するモジュールを選択します。解析開始(Run)をクリックすると解析を要求します。解析が完了すると、プロジェクトツリーでシェルプロジェクトの結果を確認でき、結果(Result)タブの補助ツールを利用すると解析結果を観察できます。
注:
- ほかの計算要求がある場合は、計算パラメータをクリックすると変更できます。
- ShellはLinuxの解析環境に対応しており、演算時間を短縮できます。