マルチコンポーネント成形(Multi-Component Molding, MCM)プロセスでは、ファーストショットのプラスチック材料がセカンドショットの充填中に溶融する可能性があります。溶融によって材料は劣化し、セカンドショットの溶融材料と混ざり合うことで、セカンドショットの劣化や材料特性の変化、外観不良につながる恐れがあります。こうした問題へのソリューションとしては、プロセス条件の制御(充填時間など)、再溶融領域の冷却改善、適切な材料の選定などがあります。
Moldex3D MCMプロセスシミュレーションでは、再溶融領域温度の結果を表示する機能を提供し、再溶融領域におけるインサート部品(Part insert)の最高履歴温度分布を表示します。ユーザーはこれをセカンドショットの充填中にインサート部品に生じる再溶融領域とリスクの評価に役立てることができます。
操作手順-Moldex3Dによる再溶融領域の温度分布予測
ステップ1 インサート部品(Part Insert)を含むモデルを使用したMoldex3D解析グループを準備します。
注意:マルチショットシーケンシャル成形のシミュレーションでは、最初にインサート部品の成形となる、ファーストショットのシミュレーションを行ってください。次に行うセカンドショットのシミュレーションでは、計算パラメーターのMCMタブで前のショットのグループIDとリンクするを有効にし、ファーストショットのグループを指定して、結果をインサート部品に取り込みます。
ステップ2 解析シーケンス設定で、サイクル平均冷却(C)もしくは非定常冷却(Ct)を解析に追加します。すべての解析設定の完了後、グループを計算のためソルバーに送信します。
ステップ3 計算終了後、プロジェクトツリーの冷却結果から再溶融領域温度をクリックすると、再溶融領域(インサート部品の温度が固化温度を超えた)の最高履歴温度分布が表示されます。
ステップ4 溶融材料の熱により充填中に再溶融領域と温度が増大し続けていることが確認できます。再溶融領域と温度結果から、製品製造時において生じる再溶融は非常にリスクが高いことが明確に示されています。
時間=0.89 秒 (保圧) | |
時間=1.68 秒 (保圧) | |
時間=11.83 秒 (冷却) |