Moldex3D FEAインターフェイスで構造解析をよりリアルに

コアテックシステム技術サポートチーム シニアエンジニア 鄧詠心

CAE解析技術の進歩に伴い、メーカーは製品の設計から成形段階に至るまで、より科学的な方法で問題の根本原因を特定しつつ設計を改善できるようになりました。中でも構造解析は往々にして製品の耐久性を評価する鍵を握っています。従来の方法では、等方性材料を製品設計モデルに適用してシミュレーションを行いますが、この場合、塑性加工中の各成形段階が製品に与える影響は無視され、繊維プラスチックが含まれる場合などの材料の異方性も考慮されません。

Moldex3D FEAインターフェイスを活用すれば、Moldex3Dの樹脂流動解析結果を他の構造解析ソフトに効果的に統合することができます。製品の成形過程で生じる影響を十分に考慮することで、材料特性、温度、圧力、残留応力、さらには変形結果を構造解析に取り込むことができ、構造解析結果をより現実に近づけることができます。

ステップ1

Studioで解析する繊維を含む材料を選択し、繊維配向の結果を含む一連のプロジェクトを完了します。

本事例では、メルトフロント時間から、溶融物が製品の上半部を満たすと、溶融物は左右両側から中央に向かって集まることがわかります。流動挙動は表層の繊維配向に影響を与え、中間波面の交点の繊維は主にZ方向に沿って、両側の繊維はY方向に沿って配列します。一般的に、繊維含有材料の異方性により、この箇所の強度減衰が生じやすくなります。

ステップ2

FEAインターフェイスタブに切り替え、FEAインターフェイスをクリックしてウィザードを開きます。応力ソルバーメッシュファイルのエクスポートを指定します。ここでは、マップされたメッシュで繊維材料特性と材料強度に対するウェルドラインの影響をANSYSソリューションにエクスポートするステップを示します。

マップされたメッシュファイルをエクスポートするを選択し、FEA解析用に準備されたメッシュファイルをインポートします。ソフトウェアは、元のStudioメッシュからインポートされたメッシュに樹脂流動解析の結果をマッピングし、その後の解析に使用します。

:FEAインターフェイスを使用する前に、マップされたメッシュを構造解析ソフトウェアで生成する必要があります。追加のメッシュが生成されない場合、メッシュファイルをOriginalにエクスポートすることができ、Studio解析で使用されたメッシュが最終的なエクスポート結果となります。ただし、樹脂流動解析に使用するメッシュ数と要素タイプが構造解析に適用できるかどうかを考慮する必要があります。

モデルの位置の表示/編集をクリックして、元のStudioメッシュとマップされたモデルの間の位置関係を確認します。2つのモデルの位置が異なる場合は、自動移動または3点位置決めを使用して調整します。このデモ画面は、3点位置決めで、元のメッシュとマッピングされたメッシュで対応する3点を選択し、確認をクリックしてマッピングを実行します。

ステップ3

エクスポートする機能オプションを選択します。今回のデモンストレーションでは、繊維含有材料の異方性材料特性とウェルドラインによる強度低下がエクスポートされます。溶融充填挙動が各領域で異なる材料特性を引き起こし、構造解析の結果に与える影響について説明します。プラスチック含有繊維を使用する場合、マイクロメカニクスモデル[Mori-Tanaka]および繊維配向の材料パラメータの簡略化された[最低値]を指定します。

次に、ウェルドラインのエクスポートにチェックを入れ、各ウェルドラインの会合角度における材料強度への影響を計算します。実際の実験結果に基づいて、角度範囲残留強度の関係を設定します(下図参照)。応力ソルバー、メッシュファイルのエクスポート、機能オプションの設定が完了したら、ファイルをエクスポートすることができます。

  • いずれかの機能オプション(チェックされていない項目を含む)を選択すると、材料特性を含むモデルメッシュがエクスポートされます。
  • 解析グループに一部の機能が含まれていない場合は、赤字で表示されます。例えば、今回は充填解析のみを実行しているため、赤色でマークされた保圧・冷却解析結果はエクスポートされません。
  • 繊維配向の材料削減範囲、材料パラメータの簡略化最低値は最も大幅に簡略化された材料を表し、解析効率の向上に有益です。ただし、簡略化しすぎると材料特性が樹脂流動解析の繊維配向を完全に反映できなくなる可能性があります。一方で、材料パラメータの簡素化なしでは、繊維配向による材料の異方性を十分に考慮することができますが、材料数が多すぎて、計算時間の増加を招き、更にはソフトウェアで制限されている材料数を超える可能性もあります。
  • 機能オプションのマイクロメカニクスインターフェイスリストにあるオプションは、非線性マルチスケール材料モデリングソフトウェアの使用を提供しているものの、構造解析ソフトウェアに直接インポートすることはできません。

ステップ4

構造解析ソフトウェアANSYSに切り替え、メッシュファイルをインポートします。材料モデルと材料数によって、繊維の異方性を考慮した材料特性のインポートに成功したかどうかを確認することができます。変位と固定境界条件を適用した後、Von Mises Stressを求めます。

ステップ5

下図左は、Moldex3Dで充填解析を行った後、FEAインターフェースを介してエキスポートした後の材料特性に対する繊維配向の影響を示しています。製品の中央箇所は、繊維配向とウェルドラインの影響を受け、材料弾性率が低くなり、計算結果ではこの部分の応力が低く表示されます。樹脂流動解析を考慮しない場合、計算結果は右図のようになり、製品上部の応力分布は均等になります。これは、樹脂流動解析の結果を考慮しないと、応力解析の結果が誤って判断される可能性があることを示しています。


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