CoreTech Systemテクニカルサポート部 主任エンジニア 張文彦
冷却解析を簡素化するため、隣接するオブジェクト間に熱抵抗がなく完全に接触していると想定する場合があります。しかし微視的な観点から、実際のオブジェクト間には必ずギャップが存在し、熱抵抗が発生します。また、金型ユニットに接触する高分子材料の状態は、成形プロセスによって絶えず変化し、かつ複雑になる可能性があります。
これに着目し、Moldex3D Studioは、ユーザーが界面の熱抵抗を簡単に検討できるように、熱伝達率(HTC)の境界条件(BC)設定ツールを提供します。Moldex3D熱伝達率ウィザードは、ユーザーがさまざまな材料、接触圧力、粗さ、またはギャップのサイズの界面熱伝達率を簡単に設定できるようにし、使いやすく便利なワークフローを提供します。また解析ニーズに応じて、異なる成形段階の熱伝達率を個別に設定することもできます。
ステップ1 開始
解析モデルを準備し、ソリッドメッシュを生成した後に最終確認を実行するか、ソリッドメッシュファイル(MFE)をインポートします。境界条件タブの熱伝達率アイコンをクリックして、設定ウィザードを起動し、境界条件データの名前を指定します。
注:eDesignメッシュモデルは、熱伝達率の境界条件をサポートしていません。
ステップ2 熱伝達率の境界条件の位置を指定
メッシュモデルのサーフェスエレメントを選択し、熱伝達率の境界条件が作用する位置を指定します。複数選択機能(Shiftキーを押す)および選択範囲拡大機能を使用すると、境界条件が作用するサーフェスエレメントをより効率的に指定することができます。選択モードは新しい境界条件の作成時においてデフォルトで有効になります。ユーザーは、選択アイコンをクリックして、選択モードを無効または再度有効にすることができます。
注:選択範囲拡大のパラメータを制御するには、選択の横にある設定(歯車アイコン)をクリックします。
注:Fast Coolメッシュを作成する場合、熱伝達率の境界条件は、パーツとインサートの間の表面にのみ作用します。
ステップ3 HTC値の設定
熱伝達係数の設定では、成形中、離型、およびアニーリングの3つの成形段階の設定が、それぞれ異なるタイプの解析手順をサポートします。必要なステージにチェックを入れて有効にして適切な熱伝達率を設定し、選択したサーフェスメッシュの熱抵抗を調整します。ステージのチェックを外すと、界面タイプと対応する解析手順に応じて、元のデフォルト値が使用されます。
注:熱伝達率境界条件は、標準バージョンの反り解析をサポートしていません。
ステップ4 境界条件データの編集
ユーザーは、モデルツリーの境界条件からHTC名をクリックして、表示ウィンドウで指定した熱伝達率の境界条件の位置を表示することができます。また、HTC名を右クリックし、[編集]をクリックして、熱伝達率ウィザードを再度呼び出して境界条件設定を変更したり、あるいは[削除]をクリックして、既存の熱伝達率の境界条件を削除することもできます。
ステップ5 解析ジョブの送信
すべての解析設定を終了し、解析ジョブをソルバーに送信します。計算が完了すると、ユーザーは、熱伝達率を設定した成形段階の温度分布結果を確認できます。例えば低い熱伝達率を設定した製品は、表面の温度が高くなります。