iARD-RPP理論モデルの導入により繊維配向の予測精度を大幅に改善

複雑な複合材料の幾何学的な微細構造は実験では観察が困難であることから、米国・エネルギー省の最新の報告において、自動車の部品軽量化に用いる熱可塑性炭素繊維複合材料の成形過程を予測する解析ツールの開発の重要性が指摘されています。現在、繊維強化樹脂(FRP)複合物は、機械的/構造的性能の強化と、安全性と耐用性の維持を可能にする材料として広く商業利用されています。

FRP製品の異方性繊維配向による製品の機械的性質への影響は、複合材料研究において常に重要な課題となっています。射出成形製品の異方性繊維配向を観察した結果、多くの製品においてスキン層、シェル層、コア層という典型的な積層構造が確認されました。なかでも、長繊維の異方性繊維配向の精確な予測は、射出成形における非常に大きな課題となっていました。

Moldex3D研究開発部門のプログラムマネジャーを務めるIvor Huan-Chang Tseng博士は、先日発表した論文「An Objective Tensor to Predict Anisotropic Fiber Orientation in Concentrated Suspensions(濃縮懸濁剤内の異方性繊維配向を予測するための客観テンソル)」において革新的な繊維配向理論モデルであるiARD-RPPについて論じました。iARD-RPRの客観性について述べた本論文で、博士は客観テンソルを提起しました。これがユークリッドの客観性の従来の流動学的定理に合致したことから、材料の本質と座標は無関係であることを証明しました。異方性繊維配向は座標により異なることから、非客観テンソルを使用した場合には客観性の問題が発生します。さらに、3つのパラメーターのみを求めるiARD-RPRモデルでは、少数のパラメーターで高精度を達成し、理論モデルの妥当性と応用性の向上が可能です。

Moldex3D R13に実装されている繊維配向予測機能では、スキン層とシェル層の繊維配向を正確に予測可能です。ただし、コア層の予測値には誤差が生じていました(Fig. 1)。iARD-RPR科学モデルを導入したMoldex3Dの最新版R14では、繊維配向の予測精度が著しく上昇しており、スキン層、シェル層からコア層の特性までを忠実に再現可能です(Fig. 2)。

new-theoretical-model-makes-simulation-analysis-on-the-orientation-of-fiber-reinforced-plastics-more-reliable-1Fig. 1  Moldex3D R13の繊維配向分布予測
new-theoretical-model-makes-simulation-analysis-on-the-orientation-of-fiber-reinforced-plastics-more-reliable-2Fig. 2  Moldex3D R14の繊維配向分布予測

Moldex3D R14のTrue 3D樹脂流動解析ソフトは、最先端のiARD-RPR科学理論モデルを利用することで、複雑な3D幾何モデルの繊維配向の特徴を捉え、精確な予測結果を導きます。iARD-RPR繊維配向モデルにより各製造工程の最適なパラメーターの取得が可能となり、複雑な幾何形状をもつ繊維強化樹脂製品の実際の製造に応用することができます。また、高精度の3D繊維配向予測結果は、製品の反り変形・構造解析においても有用です。


Test drive Moldex3D

Join the thousands of companies using Moldex3D

Talk to Sales

Schedule a product demo with our sales team