マイクロ流路形状の設計 シミュレーションツールでサポート可

顧客情報

ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン:1854年に設立され、アイルランドで最大規模を誇る公立総合大学であり、ヨーロッパにおける研究集約型の大学の一つでもあり、大学、修士及び博士の学生に多様的な研究及び革新な環境を提供しています。(出典: https://www.ucd.ie/)

天津大学:1895年に設立され、中国初の近代化された大学であり、中国近代史上初めて誕生した高等教育の総合大学です。1959年、中国の中央政府から国の重点大学に選ばれました。2000年には、中国の「985プロジェクト」の重点建設のハイレベル研究型大学に選ばれました。(出典:https://www.tju.edu.cn/english/)

概要

複雑な3Dプラスチック製品の製造は、一般的にシミュレーション技術を活用して金型設計を最適化しますが、射出成形内のマイクロスケールの流動挙動を正確に把握することは非常に困難です。このプロジェクトでは、マイクロ流路チップ方式を用いたフローサイトメーター内のキーとなる典型的なマイクロサイズの形状により、実現可能なマイクロ形状の流動挙動シミュレーションの方法を研究し、同時に熱伝達係数、ベント、壁面滑り、固化温度などの要因の影響を検討します。研究の結果からマイクロ形状の充填不足現象を予測できることが確認され、かつ2つのマイクロ流体の金型工具インサートの配置を通じてパラメータを検証しました。このプロジェクトは重要なシミュレーション事例の一つであり、ポリマーマイクロデバイス製造におけるマイクロスケールの射出成形、及びマイクロサイズの形状を有する金型工具インサートの研究に対して大いに役立ちます。

課題

  • マイクロサイズのキャビティ内の溶融樹脂流動挙動の把握が非常に難しい。
  • 金型工具の製造前に、デフォルト又は一般的なパラメータでマイクロ形状の欠陥をシミュレーションや予測することが難しい。

導入ソリューション

Moldex3D Designer BLMを用いて特定のメッシュノードシーディングを修正します。解析プロセスでは実際のマシン応答及び物理現象(熱伝達係数、ベント、壁面滑り、固化温度を含みます)などの現実の工程条件を結び付けて、マイクロ形状の流動問題を確実に予測させます。

メリット

  • マイクロサイズの形状の不完全な充填の予測に成功
  • 製造前に設計代替案を評価することで、時間とコストを節約

ケーススタディ

複雑な形状及び高精度を有する例えばマイクロ流路、マイクロ光学及び機能性表面等の製品であるマイクロポリマー製品は、一般的に微細構造射出成形技術で量産されています。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの研究チームは、樹脂流動解析技術を活用してミリメートル及びセンチメートルより大きい複雑な3D製品の金型設計と製造を最適化していますが、同一のシミュレーション方式で、より微細なマイクロサイズの形状の成形シミュレーションを行う時(例えばポリマーマイクロデバイスなど)の精度に欠けていました。

そのため、このプロジェクトでは、マイクロ流路チップ方式を用いたフローサイトメーター内のキーとなる典型的なマイクロ形状により、マイクロ形状の流動挙動の実現可能なシミュレーションを研究しました。

事例1のシミュレーション及び実験結果を比較したところ、ソフトウェアのデフォルト値でシミュレーションすると、現実の重要な成形欠陥(図1)を予測できないことが分かりました。

図1 デフォルト値によるマイクロ形状の(a)充填段階シミュレーション及び(b)実験結果の対照

そのため、次の解析では、微細構造射出成形の品質に影響を及ぼす重要要因(熱伝達係数、ベント、壁面滑り、固化温度を含みます)を視野に入れました。また、射出圧力、フローフロント及び横断面輪郭などの解析結果を通じても、マイクロ流路チップ方式を用いたフローサイトメーター基板のマクロポリマー流動状況の予測を最適化し、最後に現場の射出成形で生じる欠陥(図2)を予測することに成功しました。

図2 (a)オリジナル設計の射出段階後の様子
(b)設計変更の保圧、冷却段階及び成形サイクルが終了した後の様子
(c)成形サイクル終了後の実験結果

案例2では、シミュレーションと実験結果の相違点、特に製品表面の柱状体の流動挙動をチェックする必要がありました。その柱状構造はチップ内の微細構造です。図3に示すように、シミュレーションした充填挙動(a)、(c)は、実験結果(b)、(d)と非常に大きな差がありました。

図3 オリジナル設計のシミュレーションと実験結果の比較

次に案例2におけるファクタ制御の最適化を行い、ショートショット現象のシミュレーション結果が実験結果と一致することを観察できました(図4)。

図4 設計を最適化した後のシミュレーションと実験結果の比較

結論

Moldex3Dの解析を通じて、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの研究チームは、マイクロ流路チップ内のマイクロサイズの形状の充填挙動と計算パラメータの間の関連性を探り出し、また微細構造の不完全な充填挙動を再現できました。こうすることでマイクロ形状の充填の本当の問題を予測させ、リアルタイムで調整するよう確保できます。さもなければ、実際に起型して製造した後で問題が発覚した場合、より多くのコストをかけて問題を修正しなければならなくなります。


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