射出成形工程では、金型分割面を高温処理することにより製品表面の品質が向上します。 誘導加熱は、ショット毎にキャビティ表面を局所的に加熱する技術ですが、Moldex3D R13.0では、分割された金型面の加熱解析が可能になりました。必要に応じて、金型のコアとキャビティのどちらか、または両方を加熱対象に選択出来ます。この分割表面加熱効果の考慮を解析に含めることで、温度解析の結果がより現実に即したものになります。
充填解析にて金型分割面加熱を適用する際の一般的な手順を紹介します。
Step 1: ソリッド要素のメッシュで部品のモデルを作成し、コア側またはキャビティ側、あるいはその両方を加熱対象に選びます。この例では、部品のコア側に付属する部分(以下の図の点線で囲んだ部分)のみを加熱します。
Step 2: 誘導加熱またはその他の方法により加熱する金型板の領域としてソリッドメッシュのレイヤーを選択します(推奨レイヤー数:5枚以上)。「Attribute」に「Mold insert」を選択します。
Step 3: Process Wizard のパラメーター選択では、「Cooling Settings」タブで「Mold Insert Initial Temperature」を選択します。
Step 4: 各成形サイクルにおける初期温度を指定します。「Setting type」に「Induction heating」を選択し、最初の1回のサイクルだけではなくすべてのサイクルで初期温度を適用し、「OK」をクリックします。
Step 5: 「Analysis sequence setting」ウィンドウから、「Transient analysis (with Ct)」を選択して、初期温度の適用します。「Run now」をクリックして解析を始めます。
解析終了後に冷却の結果を確認すると、充填開始時のコア周辺の温度が高くなっていることがわかります。