- 顧客名:台湾科技大学
- 地域:台湾
- 業種:教育
- Solution: Moldex3D Advanced / 繊維配向モジュール / FEAインターフェース機能モジュール
台湾科技大学の前身は台湾工業技術学院で、1997年に台湾科技大学へと改名されました。同校は台湾初の技術職業体系の大学校であり、また台湾最先端のテクノロジー大学でもあります。現在は、エンジニアリング、電気、経営、デザイン、人文社会、精誠栄誉、知的財産学の7つの学院が設立されています。台湾科技大学建校の目的は、台湾の経済と工業の急速な発展のニーズに対応する高度なエンジニアリング技術及び管理人才の育成、そして完全な技術職業教育体系を構築することです。台湾科技大学は教育部の「国際一流大学及び先進的研究センターに向けたプロジェクト」にも選出されています。(出典:www-e.ntust.edu.tw)
概要
軽量化はもちろん、昨今はプラスチック製品が製造のトレンドであるものの、製品の剛性と強度も必須条件です。生分解性材料の観点からみると、製造プロセスでの炭素排出量を削減できることに加え、繊維の追加により製品構造を強化することもできます。本事例において、台湾科技大学チームは分解性プラスチックであるポリ乳酸(Poly Lactic Acid, PLA)複合材料によりシミュレーションを行い、繊維配向の製品の反りと応力に与える影響の研究を行いました。
課題
- 繊維が製品強度に与える影響の理解
- PLAに対する標準的なテストおよびシミュレーション解析方法の欠如
導入ソリューション
Moldex3D Advanced及び繊維配向モジュールを利用してメッシュモデル(図1)を作成し、コンバージェンステスト(図2)を行い、射出成形シミュレーションを実施しました。
図1 Moldex3Dでメッシュモデルを作成
図2 元素のコンバージェンステスト
利点
- 長繊維の引張強さ、反り変形が短繊維よりも優れている点の発見
- Moldex3DとANSYSの組み合わせにより、PLA材料に完全なシミュレーション・ソリューションを提供することが可能
- シミュレーション結果から、繊維の添加による高い製品強度の実現が可能
ケーススタディ
本事例は、PLA製品サンプルの研究です。PLA材料は耐衝撃性が悪く、耐熱性が低く、結晶化速度が遅いため、ガラス繊維の添加により上述の欠点を補強することが期待されます。まず、実験によりMoldex3Dのシミュレーション精度を検証し、シミュレーションの流動特性の結果と実際の状況がほぼ一致することが分かりました(図3)。続いて、Moldex3Dを利用して短繊維と長繊維の添加、およびプラスチック混合物のそり変形に与える影響を予測しました。最後に、ANSYS構造解析ソフトによりMoldex3Dの数値の正確性を補助検証しました。
図3 Moldex3Dのひけへのシミュレーション結果が実験結果と一致
繊維の添加によりPLA製品の構造を強化できることが分かったものの、どの種類の混合比率の材料であれば最良の強度を達成できるのかは分かっていませんでした。台湾科技大学チームは、Moldex3Dが本事例の製品の製造プロセスにおける繊維配向を正確に予測できることを発見し、シミュレーション結果をMoldex3D FEAインターフェース機能モジュール経由でANSYSに出力し、構造解析を行いました。
ガラス繊維を純PLAに添加することで、製品の強度を高めることができます。シミュレーション結果も、長繊維の変形抑制効果は短繊維よりも優れていることを示しました(図4)。
図4 長繊維の変形抑制効果は短繊維よりも優れている
ガラス繊維の添加が多いほど、反り変形量は降下します。本事例において、ガラス繊維濃度が25%の時、製品の変形量は最低となりました(図5)。
図5 各種ガラス繊維比率の反り変形結果
続いて、ANSYSによりMoldex3Dの反りと応力解析を検証したところ、二者の結果は非常に似ていました(図6)。
図6 Moldex3DとANSYSのシミュレーション結果の検証
結論
Moldex3Dの使用経験から、各種変数において、繊維の製品に与える影響は効果的に予測できることが分かりました。Moldex3D FEAインターフェース機能モジュールにより、ユーザーは繊維配向結果をANSYSに出力して十分に構造解析を行うことができ、また構造解析においても成形プロセスの影響を考慮することができ、非常に強力で信頼できるツールです。本事例の研究はまた、PLA複合材料の応用を促進しモバイルデバイスケースの潜在的市場に役立てられることが期待されています。